著作権と『言論の自由』と引用とWebリンク

[ネット関係]2006年05月25日

 これらは気にする人の中では昨今、色々と物議を醸している、らしい。インターネットという新しい発言・情報発信の舞台の登場や、『素人文芸・コラム』などが金になるようになってきた、ということも影響しているのではないか、と私は思う。

 

 そして、法制上ではこれらの規制や判例は未だはっきりと固定されていはいない。それも議論化する一因だろう。
 ────法律なんてものは基本的に後追いのものだ。で、法制化される前に被害に遭ってしまった人には非常に申し訳ないが、広範囲な視点ではそれで良いのではないか、と私は思っている。先手先手を打った法制化が万全な社会、ってのは、たぶん恐ろしく息苦しいものになるのではないか、と思うから。────閑話休題。

 現状の著作権法は基本的に文章や絵画等ならば紙媒体、造形物ならそれ本体、音楽ならばレコード、レコーダー・テープ、MD、CD辺りまでではないだろうか。
 法律は国によって異なるけれど『著作権』の本来概念は、作品や論文等を発表した人物がその人本人であることを保証し、その意識的な盗用を防ぐことだと思う。一人が自分で考え、書いたり創作したりした“もの”を、他者があたかも自分がそうしたように見せかけて発表することを防ぐためだ。
 少なくとも日本では「著作権」はその対象が創られた段階で、その創作者に対して発生する。当然と言えば当然だと思う。ついでに言えば、現行法では仮に著作権者自身が「放棄した」と宣言をしても、法制上ではそれは出来ない。
 創られたものは、その瞬間から“その人”に生み出された“その人の一部”なのだ。

 「著作権」は権利の一つである。だから表裏一体をなして「責任」が伴う。……「責任」なんてコトバを使うと妙〜に重いものな気がするが、要は一定の範囲へ発表したのだったら、その範囲からなんらかの意見があれば、それを受領する覚悟くらいのつもりだけれども。私の思うところでは。文句を言われたとき、そこまでは許容するべきじゃないかと思う。その後、謝るか、受け流すか、聞き流すか、ケンカするかはまぁ、個々人お互いで決めればいい。
 けれども、互いの主張や著作物を『封殺』させるのは、法制の範囲内で行っているのならば、別のものに引っかかる。少なくとも私はそう思う。

 『言論の自由』。日本国憲法として全ての法律の上位に定められた権利の一つである。感想も評論も批評も批判も、ただそれだけでは規制されてはならない。あまりにも品性が欠落していたり、的外れの度が過ぎたりするのは例外だとしても。────それでも、記名発表ならば疑われるのは「その発言者の人格」だけなので、そこは自由と表裏をなす個別責任の範疇だ。

 「引用」は、その「的外れの度が過ぎた批評・評論」を第三者に客観的に判断させるために、適切に利用されるべきなのが本来だとおもう。
 適切な「引用」。それは、見た人、聞いた人など第三者が、原点を辿ることができる情報を付記しての「引用」だ。
 「○○さんがこう言っていた」だけでは、範囲にもよるが公に近いほどの大きな範囲ではそれが誰だか判らない可能性が高いので良くない。「○○さんが○○社の○○という本で」まで書かれていれば、真剣にそのコトバを検証したいと思えば第三者は遡る事が出来る。それらを比較・対比して、どちらの主張が当人にとって真に思えるのか、判断の材料になる。原本にされた著作者にとっても、万一にも勝手に好きな部分だけを引用、誤解釈や曲解釈されたとしても、原本まで検証の対象に含む事が容易な情報が添えてあれば、その両者を付き合わせての第三者の評価は自ずと一定方向に行く、はずだ。

 Web上でのリンク機能は元来、この「引用」をもっと簡潔に行うためのものである。「この発言について」とはっきりと述べて第三者の判定を貰うとすれば、図書館やら何やらから引っ張り出してくるよりも遙かに簡単に、その原本に辿り着くことが、Web上では可能なのだ。(余談だけれども、HTMLを定義したW3Cという団体はHTMLの意味付け引用タグの中に出展URLを埋め込む規格を設けている…「<Q cite="引用元URL">」というヤツ。表面的に何か明示してくれるブラウザが少ないのであまり使われない、というのが実態らしいが……)
 伝聞によれば(こんなコト書いている文中でいきなりいい加減だな…自分)、Web世界がもっと小さな範囲であったころには、これらの引用としてのリンクは有用なものであったらしい。
 もちろん、これだって出展・原典明記としての引用リンクで無ければならない。自分にとって都合の良い部分だけをあからさまにピックアップして、意味を逆転させてしまうようなリンクの仕方は、もう、引用だの著作権だのというより詐欺に近い。────サイトのトップページと該当記事、双方へのリンクとサイト名と著作者名を全部書いておくのが一番良いのではないかな、と思う。

 まぁ、少なくとも理屈の上では私はこう思っている。理屈とは別に人間、感情ってものもあるし、違う考え方の人も居るだろうので、現実には相手があるときはそんなに無茶はしないが。相手がサイトのトップページにしかリンクを張ってはいけない、と強く主張していれば、大人しくそれに従うし。
 ただ、ね。JASRACのやり方に対しては文句がある。細かく書くとそれだけでかなり長くなるだろうし、Web上にも文句を言っているひとはたくさん居るから、敢えて割愛するが……。管轄下の曲・歌詞等の引用、原則全て禁止、するなら許可を得てかつ金を払え、ってのは立派な言論封殺ではありますまいか、なんて思うわけだが……。だから敢えて、一応無視してたまに原曲を明記しての歌詞文なんかを書いちゃったりする。もっとも、龍魔幻、根性に自信がないので、直接にJASRACから怒られた日にはゴメンナサイ、って言って撤回するかもしれないが。

 そうそう。私のサイト『幻創文楽庭園』のトップページには「庭園内の文書・画像等の著作権は龍魔幻又は各作者の方々に帰属します。無断転載や出典・著作情報無記述での引用等はご遠慮下さい。」という記載をしている。一見、個人サイトのお約束そのもののような文章だけれども、自分のこの考え方に従って、ちょっと違うことが仕組んである。
 遠慮してもらいたいのは「無断転載・出典・著作情報無記述での引用」、裏を返せば、一言(もちろん本人の名前や利用目的を明らかにした上で)断りを入れて貰えば、自分の作品ならばよほどまで拒否はしないし、「出典(サイト上のことなのでサイト名・リンク・HN等)・著作情報」さえ明記してもらえれば、黙って引用してもらって構わないという意味が込められている。(私の個人作品だけに限定してほしいけれど。投稿作品やリレー小説ものはまた少しばかり性格が異なってくるし、著作権の所在は私ではない。)
 過去にこの意味を見抜いて、かつ、気に入ってくれた友人が一人いる。で、彼女は私に断った上で同じ言い回しを彼女の個人サイトのトップページに記した。

 けれども、これらは私個人の考え方であって、厳密に法律に照らすとどうなるのか、これから法律がどう変わっていくのか、それはさっぱり判らない。


 最後に。こういうことを書こうと思った動機は複数に渡るけれど、その最初は『ブログ・ルポ』経由で知ったMasakoさんという方のブログ『こころの風景』内の記事『ブログの著作権 その2』である。…というわけで、先方さんとは一面識もないのだけれどトラックバックを送付します。不快に思えば消してしまう権利が、先方にはある。
 ついでに『ブログ・ルポ』にもエントリーをしておこう。


■コメント
投稿者: Masako

龍魔幻さん、はじめまして。
「こころの風景」のMasakoです。水面下のコメントもありがとうございました。
同じく著作権問題を取り上げていても、優れた洞察の考察として読ませていただきました。
私は具体例を挙げて取り上げることを第一義としたので、述べられない部分もありました。しかしキーワード検索からは今でもアクセスがあります。よくわからず迷っているサイト管理人が多いのでしょうね。

webリンクについても私も日頃思うところがあります。
「無断転載や出典・著作情報無記述での引用等はご遠慮下さい」は簡潔でいてポリシーが表現できていて感心させられました。
私のサイトでも使わせていただくようなときには、再度お願いに上がります。

不快だなんてとんでもないです。私の記事にない問題の側面をフォローしている、有意義な記事のトラックバックをありがとうございました。

2006年05月26日 12:09
投稿者: TORO

著作権もWEBも
あまり考察した事ない私には勉強になりました!
ありがと〜(^ー^)ノ

2006年05月26日 19:30
投稿者: 龍魔幻

>Masakoさん
ありがとうございます。なんといっていいか……光栄です。

>TOROさん
基本的なことはMasakoさんの所での方がよいかも、ですよ〜(^^;

2006年05月26日 22:10
投稿者: TORO

そうなん?
了解〜(^-^)!
MASAKOさんオジャマしますm(__)m

2006年05月28日 03:20
投稿者: 龍魔幻

>TOROさん いってらっしゃいませ〜

2006年05月28日 06:50

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