『祈りの酒杯』

毎月300字小説企画 テーマ:酔う/2024.03.02.

空の。
さかずきが傾く。
天秤が受けて、ふらり、ふらりと、対称に傾く。
ふとした折に散らばる、光。
サソリが浴びる。大熊、小熊の親子が浴びる。白鳥の翼を濡らす。
雄牛が舐めて、子獅子にじゃれる。
一角獣が浴びて、その角で竪琴をつつく。

ぱぁん、と、音が散る。

祭壇に捧げられた、祈りの酒杯。
夜空に、星となって夜空に散る。
星座の酒宴の賑わいは、遙か彼方、神々の元に届き、捧げられた酒杯を召し上げる。
上質の、神々への祈りの酒杯はその宴席に届く。

さあ、神々の酒宴が盛り上がる。そこに込められた心が、神々に呑まれる。
そうして、祈りに、願いに、彼らは酔う。
その心地よさを感じた神は、酔いに任せて、余興を見せるだろう。
祈りの帰結を。

2024年03月02日 『毎月300字小説企画』


すごく、すごーくお久しぶりに、復帰。
目標……今後は毎月……

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