Twitter300字ss テーマ:紙/2022.04.02.
ろうそくの炎がパチパチと跳ねる。
魔法を記した紙片はチリチリと音を立てて灰になる。
記憶は曖昧、記録は燃え落ち、あるいは改竄の記述を残し、石版では僅かな断片しか伝えることができず。
全てを残すには、いかにすべきか。
魔術師の手で、紙片は熱い炎にかけられ、細かな灰になって落ちていく。
全てを、残すには。
発掘された曰くありげな水晶は、長く、何か宗教的な象徴だろう、と思われていた。
誰かが、その国宝級の遺物に電子機器を触れさせたとき、一気に情報が動いた。
紙に、データに、誰かの脳内に、様々な情報を刻みつけた。
ようやく、制御システムが完成した。
かつて灰になり、水晶と化した紙は、遙かな時を経て、過去を語り始める。
コメント、感想など頂けると嬉しいです